ファクトリエが提携するアパレル工場の方々に、ものづくりにかける想いやこれまでのストーリーや想いをお伺い紹介するコーナー「Factory」では、様々な日本のものづくりの現場をお伝えしています。
日本で最大の毛織物産地として有名な「尾州」。木曽三川の豊かな水に恵まれ、古くより繊維産業の栄えた愛知県一宮市に、創業100年、世界の名だたる海外ブランドを魅了し続ける織物工場、葛利毛織(くずりけおり)工業株式会社はあります。
今回はこの、葛利毛織の魅力をご紹介します!
生地づくりはまず、糸選びから
なければつくる!糸にも妥協しない徹底ぶり
葛利毛織の生地作りは、徹底した糸選びから始まります。
いいものを仕入れればいい、そんな単純な選び方ではありません。
思い描いた糸がなければ、製糸工場と特別に作ることもありますし、時には出来上がった糸に、自社でさらに加工をすることもあるのだそう。
糸が出来上がると、まずは経糸の準備を開始。出来上がった糸を生地一反分に割り振って、300個ほどに分けて巻き取っていきます。
織りの密度によって本数は様々ですが、通常でも3000から8000本。密度の高い生地ですと1万本を超えるものもあります。
気の遠くなるような工程を経る
丁寧に織られた生地だから美しい
■生地を織るまでの準備で3日!
その後、生地の組織図(設計図)を見ながら、経糸を上下に開く綜絖(そうこう)という器具に先ほど巻いた糸を1本1本通す作業へ。
1本1本手作業で機械に糸を通す作業はまさに職人技。
さらに葛利毛織では、6行から12行が一般的なところ、24行の綜絖を使っています。
手間はかかるものの、より複雑な織り柄を表現することができるのです。
この後に続く、生地の密度や生地幅を調整しながら、2本から4本ずつ筬(おさ)という金具の間へ入れていく作業を合わせると、実に約3日間を要します。
根気と熟練した技術を要する作業は本当に気の遠くなる作業です。
これでやっと、生地を織る準備が整います。
職人が4日間つきっきりで1反織りあげる
シャトルにセットする緯糸は、多くても生地の30cm分ほどしか巻くことができません。一反50mなので、少なくとも一反につき160個弱は必要。
職人がつきっきりでメンテナンスを行いながら、糸の交換を行い、4日かけて一反を織り上げていきます。
昔ながらのションヘル織機で織るプレミアムな生地
葛利毛織にあるションヘル織機は、なんと約90年前に導入したものを、メンテナンスしながら使っています。
最新の織機に比べて織るスピードが遅く、なんと1/5程度なんだそう。
生産効率は悪いのですが、ゆっくり丁寧に織り上げることによって、糸に余計な負荷がかからず立体感とハリ、そして風合いのある美しい生地が生まれるのです。
ちなみに、こうして出来上がった生地の端には「MADE IN JAPAN」の文字が誇らしげに入ります。
実はこの文字を入れるための、“紋紙”というものを使って織り込んでいます。
紋紙ってなに?と思ったかたもいらっしゃると思いますが、このお話はまた別の機会に。
メイドインジャパンの誇る
至高のオーダースーツ
体になじみ、シルエットを美しく魅せる
ちなみに、職人のこだわりが詰まった葛利毛織の生地を選べるのが、ファクトリエのパターンオーダースーツ。
生地はもちろん、縫製も高い技術を持つ工場が仕立てます。
極上の生地を、至高のスーツに仕立てる
オーダースーツを仕立てるのは、NASU夢工房。
基本的な部分は300年以上変わっていないものだからこそ、クラシカルな中にも、ラペルの幅、着丈、ウエストラインのシェープさなどにモダンなエッセンスを加え、時代に合わせたラインに仕上げました。
最高の着心地(シルエットパターン)にこだわり、通常のスーツの2倍以上の工程を経て丁寧に仕立てられたスーツ。
美しいシルエットなのはもちろん、立体的な仕立ては驚くほど体にフィットし、着ていることを忘れるほど体になじみます。
葛利毛織の職人の皆さんの、最高の生地を作ることかけるこだわりと情熱に、メイドインジャパンが世界から認められ、世界的なブランドからも求められる理由がわかる気がします。
そしてその上質な生地を使い、日本でも屈指のスーツの縫製工場であるNASU夢工房が、着る人のことを考えぬいて丁寧に仕立てたファクトリエのオーダースーツ。
このタッグが作るスーツこそ、メイドインジャパンの誇る至高のオーダースーツと言えるのかもしれません。
スーツの生地工場「ナス夢工房」については後日またご紹介します!
いかがでしたでしょうか。
縫製工場に目が行きがちですが、生地を織る生地工場にも注目するとものづくりの奥深さをより知ることができますよね。
今日はここまでですが、この工場を知りたい!などご要望ございましたら、お気軽にご連絡くださいね。
それではまた次回をお楽しみに!