【アパレル工場探訪 Vol.14】「もっといい靴を作ろう」という、揺るぎなきDNA。人々に愛される靴工場。

ファクトリエが提携するアパレル工場の方々に、ものづくりにかける想いやこれまでのストーリーや想いをお伺い紹介するコーナー「Factory」では、様々な日本のものづくりの現場をお伝えしています。

今回は、大阪府大阪市にあるレディースシューズ工場、「インターナショナルシューズ」をご紹介します。

大阪全体で皮革産業を盛り上げていく

インターナショナルシューズが工場をかまえているのは、大阪の観光名所『通天閣』からほど近い場所。
難波や心斎橋といった商業地、そして今宮戎神社などの歴史建造物に囲まれた浪速区で、レディースシューズを作っています。

浪速区周辺は古くから皮革産業の町として発展してきました。
材料屋や加工場が近辺に集まっていることから靴づくりの環境としても恵まれており、戦時中の特需景気で栄えた名残を今もしのぶことができます。

ただ、かつて100社以上あった靴工場は数十社に減少
この状況を打破すべく、インターナショナルシューズでは、チーム大阪で若い世代から盛り上げていく取り組みを始めました。

約80平米から、関西有数の婦人靴メーカーになるまでの道のり

インターナショナルシューズの創業は1954年。
縫製職人だった代表の祖父が立ち上げ、「上田製靴工業所」という社名で始めます。

最初の工場の大きさは約80平米。これはなんとテニスコートの約半分と同じ大きさでした。
しかし、数年後には新社屋に移転するなど関西でも有数の婦人靴メーカーへと目覚ましい発展を遂げます。

小さな工場だったインターナショナルシューズが、多くの人に支持されるようになった理由は一体どこにあるのでしょうか。

創業時から変わらない、一足一足への愛情とこだわり

社名がインターナショナルシューズに変わっても、先代から受け継がれている「もっといい靴を作ろう」というスローガンが揺らぐことはありませんでした。

言葉自体はシンプルですが、長き歳月で育まれてきたDNAのようなもの。

創業から半世紀以上に渡って一貫して持ち続けた“靴づくりへの誇り”が伺えます。

また、靴作りのプロとしての技術が高いことはもちろん、“ものづくりをする職人の鼓動””人のぬくもり”が感じられるよう、心を込めて1足1足作られています。

緻密で時間のかかる作業だからこそ、
職人にしかできない腕の見せ所

婦人靴の製造過程で最も鍵を握るのは、パーツの裁断。

ミリ単位で各所を細かく裁ち、小さなパーツを丁寧に縫い合わせます。
職人の技術と経験がもっとも現れる工程だからこそ、機械に頼ることができない部分。

素材選びにも抜かりはなく、踵(かかと)には革の芯材を使用。
底付けする前夜から水に浸して柔らかい状態にし、翌日、半乾きの柔らかいうちに踵部分に組み込んでいます。

手間も時間もかかりますが、この作業こそ、ものづくりを大切にするインターナショナルシューズの神髄が表れています。

普段のコミュニケーションから生み出される「より良い靴」

インターナショナルシューズでは、コミュニケーションの活性化を図るために、朝礼時に1分間のスピーチを実施しています。

その都度テーマを変えながら個々の考えを披露することで、そこから意外な一面の発見や、誰かに話しかけるときのきっかけにもなっているそう。

創意工夫や業務改善のアイデアは、活発な意見交換の中から生まれるもの。
一人ひとりがものづくりに熱くなりながらも、会社全体として一枚岩になっていくことが、より良い靴を生み出すことにつながっているのかもしれません。

「働く仲間とともに、世界へ」

最後に、インターナショナルシューズの代表の上田さんが二つの夢について語ってくれました。

私たちの理想は、一緒に働く仲間に「自分の子どもを入社させたい」と思ってもらえるような会社にすることです。

技術や伝統が親から子へ受け継がれていくという昔ながらのものづくりの系譜を、現代に取り戻したいと思っています。

これまでは「いいもの」を作ることに注力してきましたが、これからはそこに「ストーリー」も絡めていきたい。浪速区の土着性、そして創業以来受け継がれてきたスローガンは、私たちだからこそ持ち得るものです。

その文脈の延長線上で“世界に羽ばたいていく”のも、もう1つの夢。
「メイドインジャパンを世界へ」という理念を掲げるファクトリエとタッグを組めるのは、夢に向かっていく上で大きな追い風になるはずです。


いかがでしたか。

「どんなに手間がかかっても、いいものを作りたい。」
そんな職人たちの想いが込められた靴だからこそ、長く愛される“最高品質の一足”が出来上がるのでしょう。

アパレル工場探訪まだまだ続きます。
それでは次回も、お楽しみに。

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