【対談レポ】銀座かねまつ・兼松孝次さんに聞く、日本のまち・ものづくり

STORY(特別対談企画)
(銀座かねまつ・社長 兼松 孝次さん × ファクトリエ代表・山田敏夫)

– 兼松 孝次さん(株式会社かねまつ 代表取締役社長)

1948年東京都生まれ。慶応義塾大学商学部、米国ハノーバーカレッジ卒業。 日商岩井株式会社を経て、株式会社かねまつに入社。2005年代表取締役社長となり現在に至る。一般社団法人銀座通連合会理事、銀座四丁目共和会会長、一般社団法人日本専門店協会副会長。

▼山田:
本日は主にものづくりとまちづくりについて、兼松さんにお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

▼兼松(敬称略):
こちらこそ、よろしくお願いします。

銀座の店は銀座の街が支えている

▼山田:
ファクトリエはメイドインジャパンのものづくりを頑張っていきたいと思っているのですが、地方を回っている中で、ものづくりはまち(づくり)から生まれるのでは、と感じるようになりました。兼松さんご自身のまちづくりへのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

▼兼松:
まちづくりなんて大層なことは言えないのですが、まずはこの銀座という町を作ってくれたことを先人たちに感謝しなければと思っています。今は銀座をどうやって次の世代につないでいこうかというところで、銀座は日本でも他の地域にはないような特別扱いをしていただいてきたし、これからも東京オリンピックに向けて色々としていただいている部分があるので、いつも感謝の気持ちを忘れないようにしたいです。

▼山田:
昨年末、銀実会(銀座の青年会)に入れていただいた際(※取材時)、みなさんが銀座に危機感を抱いてらっしゃったのがとても意外でした。銀座といえば不動の地位といいますか、もっとあぐらをかいていてもおかしくないと思うのですが、危機感を持って、より良くしていきたいと皆さんが考えられているのはすごいことだと思います。

▼兼松:
これまで地位を頂いてきたわけですから、我々としてできることはしていかないといけないという共通認識はみなさんお持ちで、連帯感は強いのではないでしょうか。銀座には1~8丁目の町会、それとは別に各々の通りに通り会があってさらに銀実会等も加わり全銀座会というまとまりになります。それがまた連帯感を生み、みなで銀座を守り育てていこうという思いにつながっているのではないか、と考えています。

町と店は、運命共同体

▼山田:
まちに人を呼ぶことは商店にとってもメリットがある、という考え方が最近なくなってきていますよね。それは商圏があるところにお店を出す、という逆の考え方が当たり前になったからかもしれないのですが、まちと商売の関係についてはどう思われますか。

▼兼松:
それこそ運命共同体です。まちがあってこそ我々が商売できるという。それはいろいろな形で先人から受け継がれている考え方だと思います。例えば我々は銀座で通りの真ん中を歩いてはいけない、なぜかというとそこは銀座に来られたお客様の通るところだから。最近は住宅街などで近所付き合いが希薄になっているなどと言われていますが、商業地ではお互いに良くも悪くも影響しあうわけで、だからこそみんなが一致団結し、より一緒に栄えていこうという考えが必要なのだと思います。

▼山田:
切磋琢磨することでより良いサービスが生まれていくというのが町と店の考え方なのですね。みなさんがこの町と共生していく、というイメージでしょうか。

▼兼松:
そうですね。各々の店の前や周囲を毎日きれいにするのはごく当たり前のことですが、それ以外にも、6丁目支部会では月に1度は早朝から各お店の人達が一緒に歩道の清掃をしています。また銀座のメインストリートは国道と都道が交差していますので、国道事務所と都の第一建設事務所のご協力の下、年2回は大々的に銀座の一斉清掃が行われます。そして銀座が安全で環境の良い街であり続けるために築地警察署のご協力を頂いて当番店が一緒に巡回することも実施しています。街並みについては景観を守るためにどうすればいいか、「まちづくり会議」「銀座デザイン協議会」等の組織があって中央区と協議しながらルールを決めています。昔から行政との協力関係ができあがっているのでできることですね。

▼山田:
日本のまちづくりはいろんなものがつくられては、上塗りされていく。景観を残すためにはある程度、大手資本と戦うことも必要だと思います。でも簡単ではないですよね?地方に行けば行くほど、コンビニがあり、マクドナルドがあり、町が似たり寄ったりになってしまっている気がします。

▼兼松:
大家さんは普通なら高い家賃を払ってくれるテナントさんが良い訳ですが、銀座では先ず銀座に相応しいかどうかを皆さん考えます。そうでない場合は警鐘を鳴らす、審査する、行政と交渉する。そういった組織があるかどうかが大切だと思います。実際にユニクロやマツモトキヨシさんも外観の色を変更して頂きました。

銀座かねまつの、ものづくり

▼山田:
さて、ここからはものづくりについて伺わせてください。地下1階から4階のオーダーサロンまで、各階をご案内いただきありがとうございました。春らしく華やかで鮮やかな商品が多いですね。GINZA Kanematsuはその名の通り、日本製のイメージがあります。

▼兼松:
ありがとうございます。よくお母様とお嬢様がお二人でいらっしゃっています。GINZA Kanematsuについてはほとんどが日本製です。元々創業当時からオリジナル商品の開発に力を注いできましたが、今も変わらずオリジナルデザインにこだわっています。また本日ご案内している銀座本店では銀座に足を運んで下さったお客様だけが手にとってご覧頂ける本店限定の商品も多くご用意しています。

▼山田:
ここでしか買えない、というのは町に人を呼び込む上で有力な武器となりますね。これだけ有名なブランドですので、海外展開のお話はないのでしょうか?

▼兼松:
よく聞かれるのですが、特に考えていないですね。海外の方と日本人では足の形に微妙な違いがありますし、中国のメーカーなどは日産1万、2万足の世界。店舗でいうと、1、2店舗では意味が無いので、500や1000店舗必要となります。マスを狙うとこだわりを捨て、価格も安くしなければならないので、私たちとは相反する世界だと思っています。

共生を大切にし、町を守ってきたからこそ今がある

▼山田:
ここからは個人的な質問ですが、海外の観光客と日本経済について聞かせてください。日本経済の7割は地方経済圏であるという現在の日本において、高齢化が進んだり、過疎化が進行したりと、この7割は今後落ち込んでいくと予想されます。地方経済の底上げに必要なものは何だと思いますか?

▼兼松:
アジアの人たちが旅行を始めたということが今後大きな変化を起こすと思います。その恩恵というか、観光立国として日本のひとつの生きる道なのでしょう。きっと東京がパリみたいになっていくのでしょうし、それは日本のいろんなものづくりだとか価値がアジアにも広がっていくようなチャンスだと思います。

▼山田:
今まであったものを活かすという意味では、地方の方が観光客を呼べる要素は多いと思います。地方のブランディングとか大層なことではなく、地元の人のちょっとしたアイデアが功を奏すかもしれないですし、温故知新のような価値が地方には眠っていると信じたいですね。

▼兼松:
日本でしかできない自然の体験を求める外国人は多いと思います。

▼山田:
自然というのは奇跡的な観光資源ですね。もしかしたら日本人の奥ゆかしさとか、ちょっとした気の使い方とか細やかさは、そういった気候も関係しているのかもしれません。

▼兼松:
四季の機微は影響しているでしょうね。

▼山田:
歴史的に見ると、自然と戦うのではなく一緒にやっていくのが村や町の団結を生み、そこで商売が生まれて社会が育っていったのだと思うので、ある意味、自然と町との調和、共生というのは文化として正しいことなのでしょうね。

▼兼松:
共生を大切にし、町を守ってきたからこそ、こうして今、東京の銀座、日本の銀座として、全国や海外からお客さんが来てくださるのだと思っています。

▼山田:
銀座というのはやはり商業の町で、全国のお手本ですね。その銀座の考えるまちづくりのキーワードは「共生」。本日は、まちづくり・ものづくり両面において貴重なお話をありがとうございました!

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