【アパレル工場探訪Vol.16】世界最高等級のカシミヤと本物のものづくりから生まれた天使のマフラー

ファクトリエが提携するアパレル工場の方々に、ものづくりにかける想いやこれまでのストーリーや想いをお伺い紹介するコーナー「Factory」では、様々な日本のものづくりの現場をお伝えしています。

今回は、岩手県北上市にある、カシミヤ専門工場の「UTO」をご紹介します。

株式会社UTO(ユーティーオー)

1992年に東京・青山でニットメーカーとして創業。
三越日本橋本店と『世界一の原料から物作りまでのトレーサビリティを証明できるセーターを提供する』企画に参画する。

世界最高峰の原料を産する中国内モンゴル自治区の阿拉善(アラシャン)左旗のカシミヤ放牧民を訪問し、糸のセレクトからデザイン、カシミア独特の縫製・リンキング、仕上げの加工まで全て日本で行っている。

カシミヤの魅力をふんだんに感じられる
「天使のマフラー」

天然素材で繊細なカシミヤは、着用したり、洗濯をしたりするうちに、どうしても劣化してしまうことは否めません。

そのため、長く使用するためには編み地を詰め気味に編み込む必要があります。

しかし、UTOのマフラーは通常の製品とは逆手の方法で、度目(編む際の度合い)を甘くするという、よりゲージを下げてスカスカに編むことによってとても柔らかい風合いを生み出しました。

その道50年のベテランだからこそできた逆転の発想。

この絶妙なバランス調整から生まれたマフラーは、羽毛のような軽さをふんわり感から「天使のマフラー」と名付けられています。
その名の通り、肌に直接着ると想像以上の柔らかさを実感できます。

手間と時間をかけるからこそできあがる
ふんわり柔らかなカシミヤ

カシミヤの編み地を洗うと、糸の間に水が通り、これによって糸の中撚り込んでいるうぶ毛を表面に浮き立たせる現象が起きます。

その洗いをかけたカシミヤを、今では乾燥機を使って短時間で乾燥させるのが一般的ですが、UTOでは自然乾燥させています。なぜなら、自然乾燥は時間も手間もかかりますが、それがカシミヤにとって最も優しい方法だからです。

「神様からの特別な贈り物」
一頭からわずか170グラムしかとれないカシミヤ

カシミヤは「カシミヤゴート」という冬は零下30度以下の極寒、夏は逆に30度を越す猛暑という、厳しい気候条件の中で生きている山羊から採れます。

カシミヤ山羊の毛は2種類に分かれていて、ひとつは「ヘアー」と呼ばれる表面を被っている長くてゴワゴワしている剛毛。

もうひとつが、ゴワゴワのヘアーの内側にある「うぶ毛」です。
このうぶ毛が大変細く、弾力性があり、セーターや服地に使われています。

しかし、うぶ毛は長い毛の間に生えているため、櫛で梳き取るしかなくかなりの手間と時間がかかります。
そのうぶ毛を集めて砂やゴミを取り除くと、1頭から採れる量はわずか170グラム前後

最終的に1つのマフラーを作るのに130グラム(約1頭分)のうぶ毛が必要と言われています。

このことから、あの軽くて柔らかいカシミヤのうぶ毛は、厳しい気候から身を守るために神様がカシミヤに与えてくれた特別な贈り物だと言われることもあります。

正真正銘の最高等級
選び抜かれた世界トップレベルのカシミヤ


UTOホームページより

一口にカシミヤと言っても毛のグレードによってピンからキリまであり、色や長さ、太さなどを考慮して等級に分けられます。
値段にもかなりの差があり、高級なカシミヤは羊毛ウールなどの約15倍前後という値段に。

最高等級を買うのは、ヨーロッパやアメリカ、そして日本。特に有名ブランドがこれらの等級の原毛を買っていますが、UTOのカシミヤも、その中に含まれています。

2008年秋のシーズン初め、カシミヤの混率表示誤りがあり新聞やテレビで大騒ぎになりましたが、カシミヤは普通のウール等に比べて高価な原料なので、ちょっとの混率の違いで大きく原価に影響するので混率をごまかしてひと儲けしようとする輩が後を絶ちません。
なかには「サンプルは本物で現物が届いた時に偽物」という詐欺みたいなことも存在するため、UTOでは入念なチェックが行われます。

最後に、UTOのの工場長である遠藤さんはカシミヤのチェックについて、こう語ります。

ユーティーオーは製品のほとんどがカシミヤですから、もし混率問題でカシミヤが販売できなくなったら即倒産です。
社員を路頭に迷わせることになってしまうので、絶対に間違いは許されません。そのためにも、混率には神経を使いますが、一番のポイントは絶対に信頼できる人から原料を仕入れることと、甘い話に乗らないことだと確信しています。


いかがでしたか。

カシミヤのニット作りからはじまり、50年以上業界の栄枯盛衰を見てきたUTOの遠藤さん。
ニット製造はアメリカと貿易摩擦を起こすぐらいに盛んな輸出の時代から、現在は製造のほとんどがアジアも時代に変わったけれど、いつの時代もUTOでは本質のものづくりの大切さは変わることはありません。

そんな、日本国内の熟練した職人達と真摯にカシミヤに向き合う取り組みには本物のものづくりを感じます。

今日の工場紹介はここまで。
それでは、次回もお楽しみに。

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