これからの社会に必要とされるのは、「きれいごと」を掲げる会社 -上っ面のCSRは、見抜かれる-

“いい会社”の定義はとても曖昧であり、人によって見解も違います。

しかし、「何を持っていい会社だと言えるのか」という指標を自分の中に持っておくことは、勤務先を選ぶ上でも、応援する会社を選ぶ上でも、大きな拠り所になります。

「いい会社を増やそう」を合言葉にしているのが、独立系の資産運用会社『鎌倉投信』。これからの社会に必要とされる“いい会社”に“いい投資”をすることは、自分自身への利益だけではなく、社会的にも利益をもたらすという考えのもとで事業を展開しています。先日、『鎌倉投信』の創業者であり、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀」にも出演した新井和宏さんとお会いする機会がありました。

新井さんが考える“いい会社”の定義は、これからの私の指標となるものでした。

■“いい会社”が増えれば、個人の幸福度も上がる

個人も会社も、アクションを起こす際には優先順位があり、「あるべき本来の図式がある」と新井さんは言います。

個人:お金 < 幸せ 会社:利益 < 理念 国:経済 < 人権

この優先順位は、意外とあっさり入れ替わってしまいます。会社や国のリーダーは、優先順位が入れ替わりやすいことを自覚した上で、順序をしっかりと守らなければなりません。なぜなら、不等号の左右が逆転したときに、犠牲となる人たちが現れるから。誰かの犠牲の上に成り立つ経済を終わらせるためにも、この図式のもとで運営を行う”いい会社”がこれからの社会に求められるのです。

特に日本では、会社と個人が密接に関わっているため、“いい会社”が増えれば、個人の幸福度も大きくなります。

例えば、日本人とアメリカ人が同じ企業で同じ待遇で働いていた場合、従業員満足度はアメリカの方が高い傾向にあります。これは、アメリカ人が会社をモノとして見ていることが要因です。魂を売る先は、会社ではなくて、教会。会社と個人を切り分けているため、会社のあり方が個人に影響しにくいのです。

対して、帰属意識が高い日本人は、会社をヒトとして見がちです。不満を抱えているときにも、会社をヒトとして愛してしまうがゆえ、「いいところもあるんだけど、うちの会社は…」という情がまとわりつきます。敢えて実力の半分しか出さないのも、会社に対して拗ねている、つまりヒトとして会社を見ているからです。

しかし裏を返せば、会社の理念に共感し、やりがいを持って働くことができれば、その分だけ個人としての幸せも大きくなります。だからこそ、社員が共感できる理念を持った“いい会社”がこれからの社会に必要なのです。

■社会事象を、自分事として捉えられるか

では、会社はどういう理念を掲げるべきなのか。「これからのテーマは社会性です」と新井さんは言います。社会で起きている事象を自分事として捉えられる会社こそが、社員の共感を呼ぶのだと。

長野県伊那市に『菓匠Shimizu』というケーキ屋さんがあります。『菓匠Shimizu』は、大切な人と夢を語り、その内容をケーキに描く「夢ケーキ」というイベントを開催しているのですが、きっかけとなったのは近所の殺傷事件です。事件は他人事ではなく、「自分の夢や大切な誰かを思いながらケーキを食べていたら、あんな事件は起きなかったのではないか」という思いから「夢ケーキ」が生まれました。

「夢ケーキ」は社員の共感を呼ぶだけでなく、客の心もつかんでいます。モノやサービスが飽和し、消費人口が減っている現代においては、提供元がどういう理念を持っているかが購買の指標になりつつあります。会社の理念への共感は、客個人の幸福度にもつながるのです。

もう1つ例を挙げましょう。食品トレー容器のリーディングカンパニー『エフピコ』は、勤務する障がい者のうち重度の障がい者が70%を超えています。しかし、事業採算を度外視しているわけではなく、特例子会社単体で黒字。循環型リサイクルという独自のサービスで経済性を追求しつつ、障がい者雇用を行っているという社会性も両立できているという代表例です。

■上っ面のCSRは、見抜かれる

社会性が消費者の心をつかむと判断し、大手企業がCSRに力を入れはじめていますが、残念ながらその多くがお飾りでしかありません。それはやはり、利益のために社会性を利用しているからでしょう。あくまでも図式は「利益 < 理念」であり、これが逆転している限りは、CSRはいつまでもお仕着せのままです。

社会性を大切にする“いい会社”は、人によっては「きれいごと」に見えるかもしれません。しかし、『投資は「きれいごと」で成功する』という著書のタイトルでも表現されているように、これからの“いい会社”は「きれいごと」を掲げている会社だと新井さんは言い切っています。「きれいごと」に惹かれるピュアな気持ちが肯定される時代の到来に向けて、私たちファクトリエも“いい会社”でありたいと改めて感じました。

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