【アパレル工場探訪Vol22】脈々と継承される開拓者魂で、宇治と世界を「結ぶ」

ファクトリエが提携するアパレル工場の方々に、ものづくりにかける想いやこれまでのストーリーをお伺い紹介するコーナー「Factory」では、様々な日本のものづくりの現場をお伝えしています。

今回は、京都宇治創業のネットウェアブランド「オングル工芸」をご紹介します。

ネクタイの起源

ネクタイの起源については諸説ありますが、現在のネクタイの原型ができたのは17世紀頃ではないかと言われています。

当時クロアチア兵の妻たちは夫・恋人の戦地からの帰還を祈って、スカーフを首に巻き付け戦地に送り出していました。一説によると、その様子を見たルイ14世が興味を示し、側近の者に「あれは何か」と尋ねたところ、側近の者は(スカーフについてではなく)クロアチアの兵士について尋ねられたと勘違いし、「クロアチア兵(クラバット)です」と答えたため、クラバット(cravat)と呼ばれるようになったそうです。

食・伝統・自然が融合した街、京都宇治

そんなクロアチアから東に9284km、さらにそこから国道24号線を南へ30分。

滋賀県と大阪を結ぶ宇治川が、宇治茶や平等院鳳凰堂で知られる“宇治”への到着を知らせてくれます。

宇治は、東側に山々がそびえ、市内を縫うように川が流れる風光明媚な街。オングルが創業した昭和40年当時は新興住宅地であり、先代が若い労働力を求めたことが宇治を選んだきっかけです。

「オングル」という社名は、南極大陸を調査する際に日本の探検隊が上陸した島の名前が由来。未開の地を開拓した彼らのように、「自分たちも恐れずに未知の世界にチャレンジしていこう」という気概が込められています。

社員全員が一致団結したものづくり

オングルの社是は、「みんなの力でみんなの良い会社」。売上や品質、納期などの目標を高いレベルで掲げながら、社員全員で一致団結してものづくりに取り組んでいます。

例えば検品に関しても、生産工程の最終段階に集約させるのではなく、各工程に検品項目を設定。より多くの目で出来映えをチェックすることで商品の品質を高め、不良品の流出や工程のロスもより早い段階でくい止めています。

「結ぶ」と呼ぶに相応しいネクタイ

ネクタイは「絞める」と表現されることもありますが、オングルのネクタイは「結ぶ」と呼ぶに相応しいソフトな風合いを大切にしています。生地を傷めないように 芯を包み込むように縫っており、仕上げのプレスはかけていません。この細やかさがマイルドな質感を生み出し、優しい感触を首元に与えます。結婚式をはじめ、様々なシーンでお使いいただけます。

お気に入りの一本を世界に届ける

高度経済成長期の後、国内の繊維産業は安さと効率を追求し、高い縫製技術は海外に流出してしまいました。そんな中、より良いものづくりに向き合い続けているオングルは、時流に乗っているとは言えないのかもしれません。しかし見方を変えれば、今は開拓者魂が発揮されるべきタイミングでもあるということ。戦後復興期の開拓者魂に魅せられた先代社長の想いは、今もしっかりと息づいています。お気に入りの一本として愛されるネクタイを、世界各国の人たちに届ける。その未来に向けて社員一同、不断の努力を続けています。


いかがでしたか。

中世の頃より人々はネクタイにそれぞれの思いを込めてきました。

そしてそれはオングル工もまた同じです。「未知の世界に挑戦する」という職人の強い気持ちがオングルのネクタイには込められています。

最近ではリラックスを求めてビジネスカジュアルが推奨され始めていますが、オングルのネクタイは例外です。

「首は絞めずに、気を絞める」

それでは次回をお楽しみに。

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